HIV感染症「治療の手引き」第7版

 HIV感染症の治療は、抗HIV薬の開発、そしてそれらの薬剤を用いた多剤併用療法(HAART:highly active antiretroviral therapy)によって、大きな進歩を遂げ、ウイルスの増殖と免疫細胞(CD4陽性リンパ球)の破壊を抑制することにより、AIDSによる死亡数とAIDS関連日和見感染症の発現頻度は著しく減少した。
 しかし、一方でHAARTの長期的実施における副作用や耐性ウイルスの出現が最近問題となってきている。早期の治療開始にもかかわらずHIVを除去できないこと、治療を早期に開始しなくても免疫系の再構築が可能であること、HAARTの成功の鍵が適切な服薬が継続可能かどうかにあることなどがわかり、HIV感染症の治療は新たな局面を迎えている。
 アドヒアランスの改善を目的とした1日1回療法や耐性ウイルスにも有効な新薬の開発など、現在のHAARTの問題点を改善すべくいくつもの試みが行われている。その意味では、いまだに治療基準や方針などが確立されていないのが現状であるといえる。
 そうしたなかにあって、この「治療の手引き」は、HIV診療の経験が少ない、もしくは経験のない医療者のために、HIV感染症治療の原則となる事項の全体像の把握を目的として編集されている。実際のHIV診療を行う場合には、その時点における最良の治療や情報を医療者と患者が共有する必要がある。そのため、診療経験豊富な医療者の助言を求めることも決して忘れてはならない。巻末に参考資料として、主要文献とダウンロード可能なホームページアドレスを示した。
 今回の第11版は、米国DHHSのHIV感染症治療ガイドライン2006年10月10日の改訂などを踏まえ更新した。
 この「治療の手引き」がHIV感染症治療について理解を深める一助となれば幸いである。
2007年12月
※:
Guidelines for the Use of Antiretroviral Agents in HIV-1-Infected Adults and Adolescents
http://aidsinfo.nih.gov/

「治療の手引き」第11版発刊後、DHHSより新たな改訂ガイドライン(2007年12月1日版、2008年1月29日版)が発表されました。2007年12月1日版2008年1月29日版DHHSガイドラインの主要改訂箇所をまとめましたので、ご参照ください。なお、現在HIV感染症治療研究会にて、2007年12月1日版、2008年1月29日版を含め「治療の手引き」第11版追補版を準備中です。


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