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HIV感染母親から生まれた新生児は、インフォームドコンセントによって母子感染予防の了解を得て、経口投与によりAZTシロップの2mg/kg、6時間毎投与を出生8〜12時間後より開始し、副作用の問題がなければ理想的には6週間継続する。経口投与ができないときは、1.5mg/kg/回を6時間毎に静注注1)投与する。35週未満の未熟児は、1.5mg/kg/回の静注または経口を12時間毎に投与し、その後30週以上の未熟児は2週後から、30週未満の未熟児は4週後から8時間毎に投与する1)。
副作用は、貧血、顆粒球減少などである。血算と白血球分画の検査を、AZT投与開始前と投与終了後に、異常値が観察された場合はさらに6週後に行う。出生時異常または未熟児なら、より頻回に行う。通常、予防投与を中止する必要はないが、貧血が強い時には4週間で中止することもある。 年次別母子感染予防効果について表23にまとめる。 ■母乳は禁止し、人工栄養とする 母乳には、ウイルスやウイルス感染細胞が含まれている可能性があるため、母乳を与えず、人工栄養とする。 |
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( )内はHIV陽性の児の数。感染妊婦と児に予防投与を実施した条件下では、166分娩中1例にしか母子感染が生じていない。 |
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平成18年度 HIV母子感染全国調査 研究報告書より引用 |
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■フォローアップ |
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児の感染の有無については、生後15〜18カ月までHIV感染母体由来の移行抗体を児に認めることがあるため、早期診断にはウイルス学的検査
(RT- PCR法によるHIV RNAの検出など)が必須である。ウイルス学的検査を行うと、生後1カ月までに96%2)以上で、
さらに生後6カ月までに全例で感染の有無が確定できる。 HIV感染母体から生まれた児のフォローアップ検査(表24)は、生後48時間以内、14日、1〜2カ月、3〜6カ月の4ポイントがある。 少なくとも6週以内に1回、陰性ならその後も検査を繰り返す。生後48時間以内の陽性は子宮内感染と考えられる。ウイルス量は生後2週間で急上昇することから、 14日目の検査は早期診断に役立つ。早期診断により、早期の抗HIV薬併用療法やニューモシスティス肺炎予防などが可能となる。6週間のAZT予防終了後、 感染の有無が判明するまでHIV感染母親から生まれた全ての児にニューモシスティス肺炎予防を奨めている。 陽性患児は、CD4陽性リンパ球数(%)とCD8陽性リンパ球数(%)を同時にチェックする。HIV母子感染予防を行った児のNRTI剤によるミトコンドリア異常に関して相反するデータがあるが、特に感染しなかった児で原因不明の神経学的所見や心所見がみられる時は、ミトコンドリア異常を疑って良い。 母子感染予防を行った児の6歳までの長期フォローでは、免疫学的、神経学的、成長、悪性腫瘍に関して、特に有意差はみられていないが、 思春期・成人まで薬剤による副作用がないか長期フォローが必要である。 |
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| ● | 異なった血液検体でのウイルス学的検査が2回陽性:HIV感染あり。 | ||||||||||||||||
| ● | ウイルス学的検査が2回(1回は生後1カ月以上、1回は生後4カ月以降)以上陰性:HIV感染なし。 | ||||||||||||||||
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● |
生後6カ月以降で最低1カ月以上間隔をあけて、2回以上抗HIV抗体が陰性で、しかも感染の兆候がない時:HIV感染なし。 | ||||||||||||||||
| ● | 生後18カ月以降。 | ||||||||||||||||
| ―低 |
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| ―HIV感染の兆候がなく、ウイルス学的検査(PCRなど)が陰性:HIV感染なし。 | |||||||||||||||||
| ―抗HIV抗体陽性:HIV感染あり。 | |||||||||||||||||
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1) |
Public Health Service Task Force Recommendations for Use of Antiretroviral Drugs in Pregnant HIV-1-Infected Women for Maternal Health and Interventions to Reduce Perinatal HIV-1 Transmission in the United States: November 2, 2007(http://aidsinfo.nih.gov/) |
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2) |
Dunn DT, et al.: The sensitivity of HIV-1 DNA polymerase chain reaction in the neonatal period and the relative contributions of intra-uterine and intra-partum transmission. AIDS 9, F7-11, 1995. |
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感染児の予後因子は、CD4陽性リンパ球数(%)と血中ウイルス量(HIV RNA量)であ る3)。 免疫能の指標であるCD4陽性リンパ球基準値は、6歳未満の小児では年齢により異なる(表25)。6歳未満の小児は、成人と異なりCD4陽性リンパ球数が多い。このため小児の免疫能の指標としては、年齢に関係のないCD4陽性リンパ球数の比率(%)がとくに重要である(表25)。 乳幼児の血中ウイルス量は、1〜2歳までは成人より10〜100倍高く、その後4〜5歳頃までゆっくり減少していくが3)、急速進行型の感染児では血中ウイルス量が高いとの報告がある4)。 CD4陽性リンパ球数と血中ウイルス量に関連して長期予後をみると、CD4陽性リンパ球15%未満・血中ウイルス量105コピー/mL以上が最も予後が悪く(死亡 81%)、次いでCD4陽性リンパ球15%未満・血中ウイルス量105コピー/mL以下が63%であった3)。 感染児の予後は、 (1)生後数カ月〜1歳までにAIDSを発症して4歳頃までに死亡する急速進行型 (10〜25%) (2)AIDS診断中央値が6歳である緩徐進行型(75〜90%) (3)8〜10歳まで無症状である非進行型(5%未満) に分けられる。このうち1歳までに15%がAIDS発症または死亡するとされる5)。 特に6カ月未満の乳児で、CD4陽性リンパ球数とCD8陽性リンパ球数の両者とも5パーセンタイル(CD4数1900/mm3未満、CD8数850/mm3以下)なら、胸腺障害を有しており、病勢の進行が早く、予後が悪いとされる6)。 しかし、乳幼児の早期診断と抗HIV薬の併用療法により母子感染児の予後が変わってきた。「小児HIV治療ガイドライン(2006年10月)」7)では12カ月未満、1〜5歳、6〜12歳、13歳以降に分けて治療開始時期基準を示してある。推奨初回治療法は、2NRTI+NNRTIまたは2NRTI+PIである。NNRTIは、3歳未満はNVP、3歳以上はEFVである。PIは、LPV/RTVである。NFVは新規治療レジメンからははずされた9)。NRTIは、AZT+3TC、ddI+3TCなどである。HAARTは感染児にも有効であるが、厳密なアドヒアランスを必要とし短期・長期の副作用もあることから、このガイドラインは、感染児の治療決定の際の一般的なガイダンスであり、児の個別状況に応じて柔軟に対応することおよび小児専門医にコンサルトすることを奨めている。また、感染児ではCD4陽性リンパ球数が正常であっても日和見感染が起こりうる8)ことから、ST合剤による日和見感染予防が重要である。 |
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HIVの治療の基本は、継続的に服薬を続けることであるが、抗HIV薬は高価であり、健康保険だけでは患者負担が大きく、治療の継続が困難となる場合も多い。患者の経済的負担を軽減するためには、社会保障制度を積極的に利用する必要があり、医療者としてはそのような制度があることを患者に説明する必要がある。概ね以下のような制度が存在するが、自治体によって利用条件が異なる。 |
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身体障害者手帳、高額療養費制度、自立支援医療費制度(旧更生医療)等 |
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詳しい利用法等については、各制度の申請窓口、施設内・地域・近くの拠点病院のソーシャルワーカーや医療相談担当者に相談するのが良い。 |
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